日本に根付いた仏教や神道、古より刻まれた歴史という土壌によって、私という人間は育まれ、多くの人に支えられて、いまここに生かしてもらっています。
そうした自分の思いを伝えるひとつの方法として、書、吉祥画、悉曇(梵字)というものを書き、見て頂きたい。
私は悉曇を謹書することを除けば、書と絵は独学我流で、本式の勉強をし、その道一筋に歩んでいる書家や画家とは違います。
書画において、おそらく技巧の点では、そういう方々には足元にも及びません。
しかし、一仏教者としての自分、ひとりの人間としての自分を、稚拙な技量をも含めて、ありのままに表現する。
形ではなく心で人に寄り添い、その人と同じ目線で共に歩むこと。
煌びやかな伽藍や隔離された山奥に鎮座するのではなく、普通の人と同じように泥に塗れ、埃に塗れ、一緒に笑い、一緒に泣き、共に支え合い、共に成長する。
そうありたいと願う心を御覧頂ける個展にしたいと思っています。
天智 拝